40代、われは主婦なり伸びんとす。

感受性やや強め40代のゆるらかブログ。

しごとのはなし。③

「しごとのはなし。②」からの続き。

さて、靴屋さんを辞めてからの私は子育てで忙しく、上の子が幼稚園に入るまではひたすら子どもと一緒の時間を家で過ごした。

可愛くて可愛くて一時も子どもと離れたくなかなったのが1番の理由。
何時なんどき子どもに呼ばれても直ぐに返事ができる私で居たかった。


しかし、子どもが幼稚園に入ると、心にポッカリ穴が空いたように寂しくなった。
たった数時間でも気がかりでソワソワ落ち着かず、電話がきたら直ぐにお迎えに行けるようにと、その時間は電話の近くを離れるのが怖くなった。

流石にこれじゃイカンと思い、その幼稚園の時間だけ近所の不動産屋で働くことにした。

子どもとお散歩中に見かけた「パート募集」の文字にピンときたのだ。
面接の日、社長と話をすると「もう今日から働いてくれ」と頼まれるくらいとんとん拍子に話が進んだ。個人の所なんてそんなものか。


そこから私の不動産屋のお仕事が始まったのだが、
何と私の任務は「留守番」だった。
こんなことあるだろうか。

初日、何をしたら良いですか?と聞くと、「特に何もないので、好きにやって。あぁ、掃除でもしてもらおうかな。」と言われたのだ。
つまり、社長は留守番(店番)が欲しかったということだ。

これには、私も驚きを隠せなかったが、とにかく家に居なければ子どもの心配も紛れるし、お金もいただけるのだし、、と心を決めることにした。


先ずはトイレ掃除から始めた。
全てが汚くカビだらけ、薄暗くてジメジメとしていて気持ちが悪かった。

変な目隠し用の布を取り外し風を入れた。
変な飾りも捨てた。
そして、とにかく便器や床を綺麗に磨き、別のトイレのように仕上げた。
社長は喜び、それまでは他のトイレを使っていたのに、嬉しそうに使うようになった。


次に事務所の整理をした。
物が乱雑に置いてあり、何が何処にあるのか全く分からないのは効率が良くないと思うのだ。
大事そうな資料も多く、片付けるのにほんの少しだけ躊躇したが、ガッツリやってみた。
すると、物置と化していたデスク達が本来の姿を見せ、かなり事務所らしくなった。
これもまた社長が喜び、商談等もそこで行うようになった。


そして、そろそろ本来の業務のはずだった不動産屋の仕事をしてみたくなってきた私は、道に面した窓にベタベタと貼られていた空き物件や土地の売り出しのポップが日に焼けて色が黄ばんでいるのを作り直させて欲しいとお願いした。
社長は全く興味がないようで、軽く「良いよ。」と返事をしてくれた。
ここで、靴屋のポップを作った経験が生きてくる。
無駄なことって1つもないなと実感した瞬間だった。
間取りを図にするに辺り「CAD使えないの?」と言われたが、ただの事務資格しか持ってない人間が使えるわけがない。
地道にExcelで作った(笑)


楽しかったポップ作りも終わり、何をしようか考えていると、社長が外回りに連れ出してくれるようになった。
色んな物件を回り、新しく作ったアパートにも1番最初に入ることが許され、ワクワクしながら探検をした。
新しい建物のあのワクワクする感じは好きだ。
中には事故物件もあり、感受性の強い私は外から眺めるだけに止めた。


物件探しをしているお客様がふらっと寄ってくれるようにもなってきた頃、お客様に案内をする仕事もさせてもらえるようになった。
認められた気がした。


家庭の事情で辞めることにはなったが、こんな感じで2年くらい良い経験をさせてもらった。
掃除や片付けに始まった不動産屋の仕事だったが、最終的にはお役に立てたのではないかと自負している。

そんな、おしごとのはなしでした。